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糖尿病治療

糖尿病治療

INDEX
糖尿病の種類
糖尿病の症状
糖尿病の各種検査
糖尿病の3大合併症
糖尿病の治療法
血糖コントロールの目標

糖尿病とは?

糖尿病とは血糖値の調節がうまくできずに、血糖値が高くなってしまう状態が続く病気です。血糖値がある程度以上高くなると、尿の中にブドウ糖が排出され体外に出されます。尿に糖が混ざるので糖尿病という名前がつきました。

血糖値がかなり高くなっても自覚症状がないことが多いため、知らない間に糖尿病にかかってしまっていることがあるのも糖尿病の特徴で、こわいところです。
そのため健康診断などで尿糖や血糖値、HbA1c(グリコヘモグロビンA1c[エーワンシー])の異常を指摘された時には、自覚症状がなくても更に詳しい検査をして、糖尿病なのか予備軍なのかを早期に診断する必要があります。

糖尿病とは?

糖尿病の種類

糖尿病にはいくつかの種類があります。

糖尿病の症状

糖尿病の初期には自覚症状は全くありません。
しかし血糖値がとても高くなってくると、以下の症状が出てきます。

  • 口が乾く
  • 尿の量が増える
  • 尿の回数が増える
  • 体重が減る
  • 疲れやすくなる

・・・など

さらに血糖値が異常に高くなりすぎてしまうと、昏睡状態になり、意識がなくなって生命に危険がおよぶこともあるのです。
症状に少しでも心当たりのある人は早めに糖尿病専門医のいる医療機関を受診し、精密検査を受けましょう。また健康診断で「糖尿病疑い」と指摘された場合は、すでに糖尿病であるのか予備軍である可能性が高いので、自覚症状がなくても必ず受診するようにして下さい。

糖尿病治療の必要性

自覚症状が全く出てない頃より血糖値が高い状態が続くと、全身の血管が障害され、内臓の障害が進行してしまうことがあります。そのため、糖尿病と診断された場合は出来るだけ早期に血糖値を正常な状態に戻すため、何かしらの治療を開始する必要があります。そして一つの合併症がきっかけで糖尿病が見つかり、すでに他の合併症もかなり進行してしまっている方もたくさんいるのです。

糖尿病の3大合併症には糖尿病腎症糖尿病網膜症糖尿病神経障害があります。

血糖値が高い状態が5年、10年、20年と続くと、透析になったり、失明したり、足の血管の血の流れが悪くなって足壊疽(足の先が腐ってしまうことです)を起こし、下肢の切断に至る人もたくさんいます。実際に50代でこのような合併症をすべて引き起こしてしまっている方もいます。

この様な合併症は、若い頃から血糖コントロールをしっかり行っていれば防ぐことが出来た可能性が高いのです。糖尿病の人でも糖尿病でない人と同じように健康的な生活がずっと保てるように、まだ初期の頃から血糖コントロールをきちんと行うことがとても大切です。3大合併症の他にも、血糖値が高いと狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの様々な病気危険性が高くなります。また、糖尿病の人には歯周病や認知症の人が多いことも分かってきています。

糖尿病治療の必要性

糖尿病の各種検査

糖尿病が心配な人は、まずは当院に来院していただき血液検査と尿検査をすることで、約10分で糖尿病が疑わしいのか、そうでないのかをお話することができます。しかしきちんとした診断は、後日空腹で来ていただき糖負荷試験(75gOGTT)という精密検査を行う必要があります。この検査で糖尿病なのか、糖尿病予備軍なのか、正常なのかどうかがより詳しく分かります。
またそれだけでなく、膵臓から出る血糖値を下げるための大切なホルモン(インスリン)を出す能力がどれくらいあるのか、インスリンが良く効く体質なのか、それともなかなか効かない体質なのかも分かります。

血糖値 血液中のブドウ糖を血糖といい、血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度を表す。
尿糖 尿に糖が出ているかを示す。血糖値がある程度以上高くなると陽性となる。
HbA1c 赤血球中に含まれているHbがブドウ糖と結合した状態の成分を示している。
血糖値が高いとHbA1cの割合が増えて高値となる。過去1~2か月間の血糖値の平均を表す。
75g糖負荷検査 75gのブドウ糖を含んだ甘いジュース(サイダーの様な味です)を飲みます。
砂糖水飲用前、飲用30分後、60分後、120分後の計4回採血検査を行い、それぞれの血糖値とインスリン濃度を測定します。検査は原則、事前に予約が必要ですが、朝の9時までに空腹で(水のみ飲用は可です)ご来院いただき「糖負荷試験希望」とおっしゃっていただければ当日でも可能です。
血糖自己測定 インスリンまたはGLP-1作動薬を使用している方は、自己検査用グルコース測定器を用いて、家庭での日常の血糖値をご自身で測定していただきます。インスリンを使用している方はその値をもとにインスリンの量を調整します。また、なぜ血糖値が高かったのか、低かったのかを振り返ることで、食事や運動などの生活習慣を見直すことが出来ます。

糖尿病の3大合併症

糖尿病の治療法

独自の
食事療法

効率的な
運動のアドバイス

生活スタイル
にあった薬物療法

糖尿病の治療法は大きく分けて食事療法運動療法薬物療法の3つがあります。

糖尿病予備軍や糖尿病の初期の段階では、まだ薬物療法は必要ないと考えています。まずは、食事療法と運動療法がとても大切です。

当院では、たとえ糖尿病であっても、生涯血糖値を下げるお薬を飲まなくても良いように、できるだけ早期に食事療法を導入することにとても力を入れています。まずは現在の食事の状況をアンケート形式で確認させていただき、それをもとにどのような食事をとれば良いのかを管理栄養士より個別に詳しく話をさせていただきます。希望や必要に応じで何度でも食事指導を受けることが可能です。

独自の食事療法

当院では糖質制限を勧めています。
他院で治療をされているにもかかわらず、血糖コントロールがうまくいっていなかった人も劇的に改善したり、今までインスリン治療をしていた人が内服治療に変更できたり、お薬の量を減らせたりと、長期にわたりとても良い成績が出ていて患者さまにもとても好評です。
しかし糖質制限を自己流でやると低血糖を起こしたり、危険なこともあります。また、やり方が間違っていたり、上手くいかずに途中で辞めてしまう方もいらっしゃいます。

糖尿病の方が糖質制限を開始する際には、必ず医師の管理と指導による内服やインスリンの調整と、管理栄養士との連携が必要ですので、ご興味のある方は当院に受診されてから開始して下さい。

独自の食事療法

効率的な運動のアドバイス

運動療法に関してはやはりご自身で頑張っていただくしかないところではありますが、基本的には週に3日以上、20分以上の有酸素運動(ウォーキングなど)や無酸素運動(筋肉トレーニング)を組み合わせることをおすすめしています。しかしなかなか時間が作れない方もいらっしゃると思います。そういう方には生活状況を聞き、その方その方のライフスタイルに合った、無理のない範囲の運動、活動量がアップする方法を提案しています。
また運動療法は継続が大切です。定期受診の際には運動療法の状況もうかがって、やる気が保てるようにお手伝いしています。

運動は血糖コントロールに限らず素晴らしいメリットがたくさんあります。ぜひ下記の「運動療法の効果」を意識しながら、若者も高齢者の方も楽しく運動してみて下さい。

効率的な運動のアドバイス

運動療法の効果

  • 運動により筋肉への血流が増加すると、インスリンがある無しにかかわらずブドウ糖が筋肉内に取り込まれ血糖値が低下する
  • 筋肉の増強によりインスリン抵抗性を改善し、血糖値が下がりやすくなる
  • 運動を継続しているとインスリンの感受性が上昇する(その効果は運動を中止しても2週間続く)
  • 炭水化物への渇望が少なくなり、炭水化物よりもたんぱく質への渇望が強くなる
  • 肥満を改善して血圧、コレステロールも低下する
  • 動脈硬化を予防する
  • 爽快感がありやる気が高まる
  • 記憶力、学習能力の増強効果がある
  • 認知症の予防効果も認められる
  • 筋肉がつくことによる転倒予防効果もある
  • 骨粗鬆症の予防にもつながる

効果的な運動療法のやり方

多くの2型糖尿病の患者さまにとって、最も効果的な運動の方法は筋肉増強運動、いわゆる筋肉トレーニングです。
無酸素運動の途中とその後には大量のブドウ糖が要求されます。同じ時間では有酸素運動より無酸素運動の方がより血糖値が大幅に低下し、筋肉細胞内へのブドウ糖輸送が一層効果的になります。(しかし血糖コントロール不良の人が短時間の激しい運動をするとカテコールアミンやグルカゴンが分泌され、血糖値を一時的に上昇させることがあるので注意が必要です。)

また有酸素運動に関しては、食事後すぐのウォーキングを勧めています。食後30分以内に歩くと食後の高血糖を抑制することが出来ます。10分でも効果がありますが、時間があるなら20分~60分程度歩くとさらに効果が高まります。

運動療法をしない方がいい、もしくは制限した方が良い方

  • 血糖値がとても高い方(空腹時血糖値250mg/dL以上)
  • 糖尿病網膜症が進行している方
  • 糖尿病神経障害がある方
  • 糖尿病腎症を認める方
  • その他、循環器系や呼吸器系の病気がある方

新たな運動療法プログラムを開始する際には、必ず担当医に相談してからにしましょう。

生活スタイルにあった薬物療法

内服薬について

現在様々な種類の血糖を下げるためのお薬があります。同じ2型糖尿病でも、インスリン分泌がどの程度残っているか、インスリンの効きが良いのか悪いのか、毎食ごとに内服することが可能なのか、1日1回しか内服が難しいのか、自分で内服管理ができるのかなどを医師と相談した上で、その方その方のライフスタイルと血糖値の状態を考慮した上で1番最適なお薬を提案しています。

血糖コントロールが改善してくれば、お薬の数や量を減らしたり、中止することも可能です。
しかし自己判断でのお薬の中止は非常に危険ですので、お薬を減らしたい場合は必ず医師または看護師、管理栄養士にご相談下さい。

注射薬について

注射薬にはインスリンを直接注射するものと、ご自身のインスリンの働きを助ける注射薬があります。

血糖コントロールの目標

糖尿病の血糖コントロールが良いのか悪いのかを示す指標に、HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)というのがあります。HbA1cは簡単に言うと1、2か月間の血糖値の平均点です。糖尿病の患者さまにはぜひ自分のHbA1cがいくつであるのかを知っておいていただきたいと思っています。

HbA1cは低ければ低いほど良いと思っている方もいらっしゃるようですが、必ずしも低ければ良いというものではありません。糖尿病で薬物療法をしている方は、低血糖がない状態でHbA1cが低い状態が望ましいのです。一つの指標として糖尿病の合併症が進行しないためには、HbA1c7.0%未満が目安となりますが、低血糖が起こっている方は平均血糖も低めになる為、その方が本当に適切な血糖コントロールかどうかはわかりません。現在服用しているお薬や年齢、認知症の有無によっても目指すべき血糖コントロールの目標は異なります。当院ではその方に最適な血糖コントロールの目標を提案します。

危険な低血糖に注意

糖尿病の治療をしている方で、低血糖を起こす方がいらっしゃいます。低血糖とは血糖値が低くなりすぎる状態を言います。典型的な自覚症状として、空腹感、動悸、冷感、手の震え、落ち着かない精神状態になるなど、症状は様々です。内服薬やインスリンを使用していて低血糖をたびたび認めるようであればお薬を減らしたり、インスリンを減量する必要がありますので、早めに受診し医師に相談して下さい。

あまりに血糖値が低くなりすぎると、意識がなくなって昏睡になってしまい、生命に危険をおよぼすこともあります。低血糖を頻回に起こした方のほうが、寿命が短くなるというデータも発表されています。自覚症状がなくても、ご自身で血糖測定している方で低血糖を認めた場合には、ブドウ糖を内服するなどして速やかに血糖値を上げる必要があります。

血糖調節障害による低血糖症(機能性低血糖症)について

今まで糖尿病についてのお話ばかりしてきましたが、糖尿病でない方でも低血糖になることがあるのをご存知でしょうか。 空腹や夕方頃になると手が震えたり、理由がないのにソワソワした気持ちになったり、気分が不安定になったり、すごく疲れを自覚することはありませんか。そして何か甘い物を食べたら症状が落ち着く。。。そんな人はもしかしたら機能性低血糖症かもしれません。

場合によっては低血糖の症状がうつ病やパニック障害の症状に間違えられ治療されている方もいらっしゃいます。心当たりのある方は自由診療にはなってしまいますが、一度当院で5時間検査(75gOGTTの5時間バージョン)を行うことをおすすめします。糖尿病の疑いで保険適応のある通常の75gOGTTの検査をしても、この機能性低血糖症は診断できません。

機能性低血糖症の場合はお薬を必要とせず食事に気をつけるだけで低血糖を防ぐことが出来ます。また食事の内容によっては3時間後くらいに低血糖になりそうだなと予測し対処できるようになります。
また糖尿病の治療をしていて低血糖になる人とは異なり、低血糖になっても昏睡レベルまで血糖値が下がることはありませんが、低血糖になると血糖値を上げるため様々なホルモンが分泌されるので、イライラしたり怒りっぽくなったり、不安になりやすくなったりとメンタルにも大きく影響を及ぼします。

少しでも心当たりのある方は当院にご相談下さい。

坂井 聡美
担当医師
坂井 聡美SAKAI SATOMI
担当科
内科、小児科、糖尿・内分泌内科、アレルギー科
糖尿病専門医師と管理栄養士が連携 糖尿病治療に糖質制限食を活用